展示会

企業が主な取引先となるBtoB企業にとって、新規顧客の獲得はそう簡単にはいかないもの。
なぜなら、企業の場合、すでに既存の取引先が存在している場合が多く、新規取引先として入り込める余地がないケースが多いからです。

そんな中でも、見込み顧客と出会い、マッチングにつなげるのに最適で貴重な機会があります。
それが、同分野の企業が一堂に会する「合同展示会」です。
ここでは、展示会の基礎知識について解説しながら、展示会に出展するメリットや最近注目される「オンライン展示会」「ハイブリッド展示会」とは何かをまとめました。
展示会への出展で成功するポイントやマーケティングに活かす方法についても掘り下げていますので、ぜひ参考にしてみてください。

展示会とは

商品やサービスを製造・販売している業者が自社の製品について出展し、製品の特長や技術力をアピールできる場です。
主に新規顧客を開拓したり販路を広げたりするのを目的に行われており、その場で名刺交換を行ったり情報収集を行ったりする場として活用されます。

業者は、展示会に出展することで多くの業者に自社や自社の商品・サービスについて知ってもらえるほか、その場で直接マッチングすることができます。
展示会には多くの種類があり、その多くが専門分野や同業種・職種のカテゴリに分かれていることが一般的です。

展示会に出展するメリット

企業が展示会に出展するメリットは大きく分けて5つあります。

自社の認知度を高められる

展示会では、自社ブース内でデモンストレーションを行ったりモニターで製品説明を行ったりと、さまざまなアプローチができます。通りかかかった人に見てもらえれば、自社を認知してもらえるでしょう。会場で資料やサンプルを配布すれば、それを持ち帰ったあとに思い出してもらうこともできます。多くの来場者に認知してもらえるよう、印象に残るブースづくりや展示物を掲示する工夫も大切です。

多くの企業と出会える

展示会では、数日間にわたって全国各地からさまざまな企業が訪れます。中には企業の決裁権を持つ役職者や幹部もいて、それら経営層に対して効率よくアピールできるでしょう。
また、同業者同士の協業相談なども活発に行われます。自社の商圏外エリアからの出展や参加も多く、普段なら出会えない企業担当者などと名刺交換をしたり交流を深めたりできます。展示会を機にネットワークを広げ、商機につなげることも可能です。

企業担当者と直接話ができる

インターネットで情報収集をするのがメインになっている現代で、多くの見込み顧客と直接話ができるチャンスがあります。
しかも展示会の参加者の多くが特定のニーズを持つ企業担当者であるため、自社が取り扱う商品やサービスに対し、関心を寄せてくれることが多いです。
展示会によっては企業同士が直接商談できるスペースが設けられているところもあり、当日のアポイントや申し出があれば具体的な話ができる場合もあります。

展示会後に追客できる

展示会のテーマに沿った、特定の分野に興味・関心を持つ人が訪れる傾向にあります。一度自社の見込み顧客としてリスト化すれば、その後の追客や営業が効率的になります。
とくに来場者の記憶が新しい展示会直後のアプローチは効果的です。名刺交換に成功したら、なるべく早いうちに電話やメールでご挨拶しましょう。

同業他社の動向を把握できる

展示会には、自社と似たような商品・サービスを扱っている企業が参加することも多くあります。同業他社がどのような新製品を売り出しているか、技術をアピールしているかなどの動向を直接チェックすることができます。展示会は、新規顧客を獲得するためだけではなく、情報リサーチやマーケティングの場としても活用できるイベントです。

展示会の種類

日本では、年間でおよそ800の展示会が開催されています。特定の産業や分野に特化した展示会が多く、マーケットの大きさから東京・大阪・名古屋などの大都市圏を中心に開催されるものがほとんどです。
従来、展示会はBtoBマーケティングの場として活用されていましたが、今ではBtoGやBtoBtoCなど、さまざまなビジネスモデルの展示会も増えてきました。
展示会は、その特性から大きく分けて4つの種類に分かれています。

合同展示会

合同展示会とは、特定のテーマや分野に特化した企業が集まる展示会です。東京ビッグサイトや幕張メッセなど主要都市の大型展示会場で開催されることが多く、「展示会」と聞いてこれをイメージする方も多いのではないでしょうか。
合同展示会では、企業同士の商談や買付が活発に行われています。
大規模な合同展示会の例として、産業機械や機器全般、IT・通信関連、電気・電子・半導体関連、環境・エネルギー関連、食品・食品加工産業などが挙げられます。

セール展示即売会

会場の自社ブース内に商品を直接展示して、その場での売買を目的にしているのがセール展示即売会です。
家具やファッションブランドなど、画像や映像だけだと商品の強みが伝わりにくい業種に求められることが多く、主にBtoCで活用される手法でもあります。
中には、商品を売ることを目的にせず、あくまでプロモーションやマーケティングの場として活用する企業もあります。

プライベートショー

展示会を主催する運営会社ではなく、1つの企業やグループが自社製品の機能やサービスをアピールするために開く展示会です。主催する企業がPRや招待によって集客するのが特徴で、展示会サイトやPR動画、印刷物の制作や会場ブースの設置・装飾に至るまでを行います。
セミナーやプレゼンテーションなどのコンテンツに注力していることが多く、ここ数年はオンライン展示会を開く企業も増えてきています。
独自のテーマやコンセプトを掲げて、いかに来場者の興味を惹きつけ、ファンを獲得できるかが問われます。

オンライン展示会にも注目

新型コロナウイルスの世界的流行によって、さまざまな展示会の中止や延期が相次ぎました。最近ではニューノーマルの流れを受けて、旧来の対面型展示会ではなく、非対面・非接触で展示会を行うオンライン展示会が人気となっています。
360℃の3D空間やVR技術を駆使した、仮想空間の展示会が次々と登場。
製品・サービスに直接手を触れたりはできないものの、オンラインでセミナーに参加したりデータ資料を入手したり、担当者とはオンラインチャットでやりとりしたりと、新たな体験を提供して進化を続けています。
また、テレワークが浸透してきた流れから、対面型の展示会とオンライン展示会を同時に開催する「ハイブリッド展示会」もトレンドに。
現地会場まで足を運ばなくても気になる企業や製品をチェックできるこれらの展示会は、今後もしばらくニーズが続きそうです。

展示会出展で注意したいポイント

さまざまな企業と出会い、多くの来場者とコミュニケーションを取れる展示会ですが、展示会への出展には多額の費用がかかります。展示会への出展費用だけでなく、動員するスタッフの人件費や交通費、ブース設営費、パンフレットや資料などの配布物、来場者に渡すノベルティグッズなどの制作費用も必要です。
どのくらいコストがかかるかを把握できない方は、具体的な数値目標を掲げた上で必要な施策を逆算し、予算を算出しましょう。

また、はじめて出展を行う際は、次回も出展するかを検討するために、集客数や獲得できた見込み顧客などのリード計測も忘れずに行ってください。
展示会の期間中は、スタッフも何かとせわしく手が離せないものです。回収すればリードを集計できるアンケートなどを用意しておくと、計測がしやすくなりおすすめです。

展示会で成功するポイント

展示会の参加者をやみくもに集めるだけでは、なかなか顧客獲得や成果にはつがなりません。
いかに多くのリードを集められるか、そのうち見込み顧客はどのくらいかなど、具体的に数値化して目標に落とし込んでいくことが大切です。

目標を明確にする

まずは、展示会に出展する際の具体的な目標を定めます。目標は、自社の課題に沿ったもので構いません。昨年よりも〇件の見込み顧客を獲得する、〇件の名刺交換をする、期間中、〇社以上と商談にこぎつけるなど、目標を明確にすることによって、今やるべきことや必要な施策が見えやすくなります。

来場者の目的を把握する

いくらリードを獲得できても、来場者が求めている目的に沿ったアプローチでなければ、なかなか相手の印象には残りません。
はじめて出展する企業は目標数値で無理をせず、会場の雰囲気や来場者の目的を推し量る作業も大切です。
来場者のニーズを知ったあとは、自社がそのニーズにどうこたえられるか、どのように課題解決ができるかを考えていきます。それをもとにフォロー体制をつくり、顧客を育成(ナーチャリング)していきましょう。

資料を作成する

展示会当日、会場に設置する資料を作成します。誰が読んでも分かりやすいよう、なるべく専門用語は使わず、読みやすい資料作成を心がけましょう。
また、会場で受け取った資料から公式サイトやSNSページへジャンプできるように工夫しておくと、より積極的に自社のアピールができます。

印象に残るブース設営

展示会の前日~当日オープンまでに、展示会場のブース設営を行います。来場者が興味を持ってくれるような飾りつけがあると、印象に残りやすくなります。
ただし、展示会の規模によっては、企業ブースも舞台セットさながらの大がかりなものとなります。
人手が足りないとブースの設営に思った以上に時間がかかる場合がありますので、ブース設営の業者への依頼も年頭に置いて準備を進めるようにしましょう。
なお、展示会によっては、ブース設営の専門業者を紹介してくれる場合もあります。出展申し込みの際に設営準備を依頼できるか、それとも自ら手配が必要かという点まで、チェックしておけると安心です。