自社マーケティングに活かすためにマーケティングにおける失敗事例を知ることも必要です。
また、現在誰もが名を知るような大企業でも過去にはマーケティングで大きな失敗をしてしまったという会社もありますし、なぜ失敗してしまったかを分析することも大切です。
ここでは、有名な飲料水メーカーのマーケティング失敗事例を見てみましょう。

ある企業の決断

赤と白のカラーリングが特徴として知られる某飲料水メーカーは、ライバル社の動向に常に目を光らせていました。
かつては相手にもしていなかったライバル会社はまたたく間にシェアを拡大し、脅威的な存在となったのです。

そこで、この飲料水メーカーは新たな商品の開発に乗り出します。
もっと美味しいドリンクを開発し販売すればシェアを取り戻すことができる、と考え幾度にも及ぶブラインドテストを繰り返して誰もが満足するドリンクを造りだしたのです。

幹部社員の誰もが新製品の味に満足していましたし、これでシェアを取り戻せると確信していました。
しかし、これがそもそもの大間違いだったのです。

顧客の気持ちを置き去りにしてしまった

満を持して販売された新商品ですが、この新商品はまったくといって良いほど売れませんでした。
それどころか、旧来の製品を復活させてほしいというユーザーの声が毎日のように届くようになったのです。

そこで、メーカーはブラインドテストでもっとも味の評価が下だった製品に戻し、従来と同じように販売し始めました。
それと同時に同社の顧客は戻ってくるようになり、また評価されるようになったのです。

では、なぜこのようなことが起きたのかということですが、要するに顧客の気持ちを置き去りにしていたことが原因の一つでしょう。
消費者はあくまでそのメーカーが販売していた旧来のドリンクが好きだったのであり、ブランドに信頼を寄せていたのです。

信頼の上に成り立つブランド

ブランド力というのは信頼関係の上に成り立つと言っても過言ではないでしょう。
この飲料水メーカーはその信頼を裏切るような行動をとってしまったといっても過言ではありません。

消費者はそのドリンクがいつも同じ味を提供していることを信じていますし、そこを愛しているのです。
それを自社のエゴによって「より美味しいものを」などと考えてしまったのが大きな失敗の基と言えるでしょう。

顧客に対する信頼を守ることがブランド価値の向上に繋がるということがよく理解できる失敗事例ではないでしょうか。
これはどんなに大きな企業でも中小、零細企業でも同じことが言えます。
消費者に対してどのような約束をしているのか、それを守り続けられているのかということを今一度考えてみるべきでしょう。