マーケティングのために良かれと思ってやったことが逆に批判の対象になってしまうということもあります。
有名な某フライドチキンチェーンはかつて商品の売り上げに連動して寄付を行うというキャンペーンを行っていました。
乳がんの啓発や寄付の獲得をめざし、その上で企業イメージも高めることのできる素晴らしい考えだと思いますが、この行動が後に大きな批判を浴びてしまいます。

コーズの選定を誤る

このフライドチキンチェーンは最初に大きな過ちを犯してしまいました。
まず、乳がんの啓発や治療のための寄付を集めるという考えは非常に立派なものですし、多くの企業がこうした行動を起こしているのは事実です。

しかし、フライドチキンのような高カロリーな食べ物は肥満を引き起こす原因の一つでもあり、肥満と乳がんの因果関係もあると言われています。
分かりやすく言えば、「タバコはガンの原因になってしまうよ」と説教しながら相手の目の前でタバコを吸ってしまうような行為です。

食品に携わる会社なら乳がん啓発などではなく、飢餓撲滅などそっち方面にフォーカスしたほうがまだ世間の支持を得ることができたでしょう。
これは大きな選択ミスです。

リサーチが不十分だった

マーケティングの世界においてリサーチは非常に重要なプロセスの一つです。
このフライドチキンチェーンはリサーチを充分行わなかったために批判されてしまうことになったと言っても過言ではありません。

フライドチキンのように高脂肪で高カロリーな食べ物が乳がん発生の一因になり得るということは徹底したリサーチを行えば事前に把握できたはずです。
それを行わず、ただ「良いことだから」と安易な考えでこうしたキャンペーンを行ってしまったことが大きな過ちと言えるでしょう。
ロジックをしっかりと組み立ててマーケティングを行わないと、このフライドチキンチェーンのように「良いこと」をしたつもりが大きな批判を浴びてしまうということになります。

うわべだけではだめ

企業のイメージアップのため、引いては売上や利益率向上のためにと流行しているキャンペーンに参画する企業は少なくありません。
しかし、自社とのマッチングなどもしっかり考えたうえで参加しないと先ほどの会社のように痛い目に遭ってしまいます。

情報社会と言われる現代では誰もが簡単に多くの情報を入手できるようになりましたから、従来のように「良いこと」を何となくしているだけでは世間の支持を得ることはできません。
誰のためにそのキャンペーンに参加するのか、自社はそれに寄与することができるのかということを考えた上で参加することが何より重要です。
トレンドに流され過ぎるのも控えた方が良いでしょう。